桜の種類を知っておくとお花見がもっと楽しめるって本当?①

コラム

河津桜

日本の春に桜は欠かせません。桜前線という言葉もあるように、温かさの指標にもなっています。特に今年は感染症の影響も収まりつつあり、お花見を楽しみにされている方も多いはずです。お花見をもっと楽しむために、ここでは桜の種類について学んでおきましょう。

桜の染井吉野ってどんな品種なの?その特徴は?

染井吉野は日本で最も有名な桜です。江戸の染井村で栽培され、奈良の吉野山で美しく咲いていたことにちなんで命名されたという説があります。

接ぎ木が容易で成長も早く育てやすいため、今では全国に広まっています。大島桜と江戸彼岸桜の雑種と推定されますが、起源については複数の説があります。

花は2~3cmの楕円形で花弁は5枚あり、一総に3~4輪咲かせます。初めは淡いピンク色で段々と白くなっていきます。花が散った後に緑色の葉が出てきます。

さくらんぼのような実は染井吉野同士では実りませんが、別の種類が近くにあると実ることもあります。ただ、酸っぱく渋いので食べることはおすすめできません。

南の九州では3月中旬に開花日を迎え、南から北へと順々に開花していきます。開花から一週間で満開となります。

桜の河津桜ってどんな品種なの?その特徴は?

河津桜は静岡県の河津町で発見された早咲き桜の一種です。寒緋桜と大島桜の交雑種とされており、濃いピンク色の花びらが特徴です。一重でやや下向きに咲き、花弁は5枚となっています。咲き始めは濃いピンク色ですが、段々と色褪せ散っていきます。

開花期は毎年異なりますが、河津町での開花は1月下旬から2月上旬です。開花後は約一ヶ月という長さで咲き続けるという特徴もあります。

1955年に最初の原木が見つかったとされ、河津地方独特の桜であることから1974年に河津桜と正式に命名されました。

2月上旬から約1ヶ月間、河津川を中心とする河津町内で「河津桜まつり」が行われます。全国に知れ渡り、今では100万人を超える人々がやってくるほどの大規模なイベントになっています。

桜の山桜ってどんな品種なの?その特徴は?

山桜は日本原産の桜の一種で、本州、四国、九州に分布しています。温暖な気候を好み、低山や丘陵によく咲く、西日本では最も一般的な野生の桜です。

開花時期は3~4月で、5枚の花弁を持つ白や淡いピンク色の花を咲かせます。花は前年に伸びた枝葉の脇に2~5輪ずつ咲きます。

20~30mと比較的大きく成長する特徴があるため、桜の中でも高木に分類されています。寿命も長く、200~300年も長生きするものもあります。

山桜は木材としても多く利用されている植物です。材質が素直で反りも少なく、強度もあるので上質な木材として重宝されています。木材は家具の材料としても人気が高く、樹皮は質感を活かして樺細工などに利用されます。

野生の桜の中で最も代表的な桜で、江戸時代後期に染井吉野が広まるまでは花見の対象と言えば主に山桜でした。

桜の枝垂れ桜ってどんな品種なの?その特徴は?

枝垂れ桜とは枝が柳のように垂れ下がった桜の総称で、垂れ下がった枝が糸のように見えることから、別名糸桜や大糸桜とも呼ばれています。

花の色は種類によって異なり、白、ピンク、赤などバリエーション豊富です。地域によっても異なりますが、3月下旬から4月にかけて開花し見頃を迎えます。

八重咲きの紅色の花を咲かせる八重紅枝垂、一重咲きの紅色の花を咲かせる紅枝垂、一重咲きの真っ白な花を咲かせる清澄枝垂などの品種があります。福島県の三春滝桜という桜は樹齢1000年を超えると言われているように、枝垂れ桜には樹齢300年以上の桜もあります。

その歴史は古く、平安時代に突然変異によって誕生したとされています。なお、枝垂れ桜は鉢植えでも育てられ、ホームセンターなどで苗を購入できます。

桜の大島桜ってどんな品種なの?その特徴は?

大島桜は、日本の固有種で伊豆大島に多く見られる品種です。伊豆大島には、150万本が自生していると言われています。大島桜は数多くの桜の原種で、日本で一番人気のある染井吉野もその一つです。

開花時期は通常3月から4月ですが、2月頃から開花する地域もあります。葉が出ると同時に花が咲きます。花弁は5枚で、花の直径は3~5cmで他の桜よりも大きく量も多いです。また、香りが強いという特徴があります。

大島桜は別名、餅桜(もちざくら)とも呼ばれ葉は塩漬けにして桜餅に使われます。そのため、大島桜の花や葉からは桜餅と同様の香りがします。

大島桜は八重咲きなどに突然変異しやすく、成長が速い特徴があります。また、桜の中でも背が高く、20メートルほどの大きさにまで成長します。幹は太く、苗木でも直径が50cmほどになります。

桜の種類について①

日本の桜の代表と言えば染井吉野です。育てやすいこともあり、今では日本国中に広まっています。3月中旬に南から咲き始め、桜前線は北上していきます。河津桜はニュースでもよく取り上げられる早咲き桜の一種です。河津桜まつりは多くの人がやって来る大イベントになっています。山桜は西日本で最も一般的な野生の桜です。木材としても重宝されている桜です。枝垂れ桜は柳のように枝が垂れ下がっているのが特徴です。樹齢1000年を超えるものもあるほど長寿の桜です。大島桜は伊豆大島で多く見られる品種です。その葉は和菓子の桜餅に塩漬けされて使われます。桜と言えば染井吉野を連想しますが、山に登れば山桜を、また公園には枝垂れ桜を見ることがあります。目を凝らして桜の種類を観察するのも春の楽しみの一つです。