コラム
コレステロールは、HDLコレステロール(善玉コレステロール)とLDLコレステロール(悪玉コレステロール)に大別されます。毎年の健康診断でLDLコレステロールの値は気になりませんか?ここでは、コレステロールの正体や働き、食事での注意点などについて考えておきましょう。
コレステロールはステロイド化合物の一種で、水に溶けず有機溶媒に溶けることから脂質に分類されています。コレステロールは細胞膜の主な構成成分で、脳、肝臓、神経組織などに多く含まれています。
私たちの体を作っている約60兆個の細胞を、外部の環境から守るのが細胞膜です。コレステロールはリン脂質、タンパク質などとともに、この細胞膜の材料となっています。コレステロールのおかげで丈夫な細胞膜が作られ、一つ一つの細胞が守られているのです。
コレステロールは体の調節に欠かすことができない、副腎皮質ホルモンや性ホルモンなどの材料にもなっています。
また、脂肪の消化・吸収を助ける胆汁酸の材料にもなっています。この胆汁酸が不足すると、脂肪、ビタミンA、ビタミンEなどの吸収が悪くなります。
コレステロールは卵、魚介類、肉類、菓子類など、幅広い食品に含まれています。
可食部100g当たりのコレステロール成分量は、卵黄(生)1400mg、かたくちいわし720mg、さくらえび(素干し)700mg、フォアグラ(茹で)650mg、キャビア500mg、豚スモークレバー480mg、生卵420mg、しらす干し390mg、生たらこ350mg、ウニ(生)290mg、ウナギ(蒲焼)230mgなどとなります。
これらはいずれも卵、魚介類、肉類に分類されますが、フォアグラ、キャビア、ウニ、ウナギなどの高級食材だけでなく、日常的に食べる物も含まれています。特に毎日のように食べる卵にコレステロールが多いのは注目です。
また、菓子類では、シュークリーム230mg、スポンジケーキ170mg、カステラ160mg、カスタードプリン140mgなどのスイーツにコレステロールが多く含まれています。これらは、バターや卵黄などが材料となっていることから、その数値の高さが分かります。
洋食や寿司などの外食が多い方、スイーツが大好きな方ほど健康診断で引っかかりがちなのは、コレステロールを多く含む食品を好んで食べているからでもあります。
HDLコレステロールであれば気になりませんが、LDLコレステロールの値が高くなるのは危険です。
中性脂肪やコレステロールなどの脂質代謝に異常をきたし、血液中の値が正常な範囲を超えた状態を脂質異常症と呼びます。脂質異常症は動脈硬化の主要な原因であり、放っておけば脳梗塞や心筋梗塞などの動脈硬化性疾患を招くことになります。
元々の体質や遺伝的要素が原因にもなる病気ですが、生死にかかわる病気であるため、「コレステロールの摂り過ぎ」という一つの原因だけは消しておきたいところです。
また、酸化したLDLコレステロールが大きな原因となる黄色腫にも注意が必要です。すぐにも病院で診てもらい適切な薬を服用するとともに、生活習慣の改善も心掛ける必要があります。
健康志向が高まり、コレステロールが体に悪影響を及ぼすことがよく知られています。そこで、コレステロールが少ない食事にしたいところですが、コレステロールもまた日常生活を円滑に送るのに必要な栄養素の一つであることは間違いありません。
コレステロールが不足し過ぎるとさまざまな弊害があります。例えば、細胞膜や血管が弱まってしまったり、免疫力が低下したり、脳出血などを起こりやすくなったりします。
疲れもなかなか回復しない、太りやすくなっている、老いを感じるようになった、などの症状もコレステロール欠乏の可能性があります。
健康で美しく生きたいなら、怖がり過ぎずある程度は摂取することです。ただ、食事が欧米化した昨今、普段の食事でコレステロールが欠乏することは、まずありません。
コレステロールは植物にはほとんど含まれないため、植物性の食品、特に野菜や海藻を食べる量を増やすことがコレステロールを下げるのに効果的です。
これらの食品はビタミン、ミネラル、食物繊維が豊富に含まれています。食物繊維はコレステロールや中性脂肪を体外の排出する働きがあります。また、植物性タンパク質が豊富な大豆製品には、LDLコレステロールが体内に吸収するのを抑える働きがあります。
魚類を食べるのも効果的です。魚の脂肪にはEPAやDHAが含まれ、これらは血中のコレステロールや中性脂肪を減らし、血液をサラサラにする働きがあります。
飲み物では、ジュースやアルコールは控え、お茶や水を中心にするのがおすすめです。特に、カテキンが含まれる緑茶にはLDLコレステロールの吸収抑制効果があることが分かっているためです。
また、肉類を食べたいという時にも、ささみや鶏むね肉・レバーにするなど部位を選ぶこと、脂身を取り除いて調理するなど、ちょっとした工夫でコレステロール値は下げることができます。
コレステロールには、HDLコレステロール(善玉コレステロール)とLDLコレステロール(悪玉コレステロール)があることはよく知られています。コレステロールは一つ一つの細胞を守る細胞膜の材料となっています。
コレステロールは卵、魚介類、肉類、菓子類などに多く含まれており、外食が多い方やスイーツが好きな方は要注意です。コレステロールの摂り過ぎは動脈硬化の原因となり、脳梗塞や心筋梗塞を起こすこともあります。ただ、不足しても免疫力が低下するなどの症状が起こります。
コレステロールを食事で下げようと思えば、食物繊維豊富な野菜、体によいEPAやDHAも含む魚類、飲み物ではカテキンを含む緑茶などがおすすめです。コレステロールが気になる方は、健康診断での値を参考に食生活に変化をつけてみて下さい。