コラム
科学の進歩に伴いスポーツのトレーニング方法も変わってきました。「体幹トレーニング」や「インナーマッスル」など、これまで聞いたこともない用語が使われるようになっています。皆さんは体幹トレーニングをされているでしょうか?体幹トレーニングとはどういうものか調べておきましょう。
私たちはよく腕立て伏せなどで上腕を鍛えますが、強靭な上腕ができても体の芯がグラグラしているようでは効果も半減です。頭や手足など、胴体からつながっている部分を機能的に動かすには、胴体部分が重要であるということから「体幹」が注目され始めました。
具体的な体幹には胸、背中、腰回り、腹筋、お尻などが含まれますが、狭義の意味では内臓が詰まったお腹を囲んでいる部分になります。
具体的には、横隔膜、背骨につながっている多裂筋、コルセットのような筋肉である腹横筋、下部にある骨盤底筋群の4つになります。
これらは深層部にある筋肉という意味でインナーマッスルとも呼ばれますが、このインナーマッスルを鍛えることがよく言われる「体幹トレーニング」になります。
体幹を鍛えるメリットの一つに、普段の姿勢や身のこなしが美しくなるという点があります。体幹を鍛えることによって背骨を支える筋肉が発達していきます。すると背骨の歪みや猫背といった姿勢の問題が解消され、日常動作にも安定感が出てくるのです。
また筋肉量の増大は、痩せ過ぎでも太り過ぎでもない適正体重に近づくというメリットもあります。体幹を鍛え続けているとカロリーの摂取と消費も自然とバランスがよくなっていき、新陳代謝の向上がもたらされます。
痩せている方は筋肉が増えて力強い体になり、逆に太っている方は代謝によって脂肪が燃えやすくなりダイエット効果が得られるのです。
さらに筋肉を鍛えると内臓の動きも活発になるのでお腹の調子がよくなったり、姿勢の安定によって肩こりや頭痛が解消したりするというメリットもあります。
体幹トレーニングを毎日続けるコツとして、まず「トレーニングの時間や場所を決めておく」というのがおすすめです。毎日継続的に行うつもりなら、トレーニングは同じ時間に同じ場所でやるという風にルーティーン化しておくと続けやすくなります。
朝、顔を洗ったり歯を磨いたりするのと同様に、「〇〇時になったら××で体幹トレーニングをする」と決めてしまうことで、日常習慣の一つとして位置づけることができます。
トレーニングの度に、器具を取り出して運び、設置するようでは、その準備作業が面倒になり、トレーニングもサボりがちになります。
従って、トレーニング専用の場所を確保しておき、時間が来てその場所に行けば、すぐにトレーニングを始められるように環境を整えておくとルーティーン化しやすくなります。
また、軽い気持ちでトレーニングに取り掛かるのも、毎日継続していくうえでは大切です。何も気合を入れて準備万端でやる必要はありません。「今日は軽く一種目だけ、着替えずにそのままの格好で…」といった気持ちでも構わないので、「とにかくトレーニングを始めてしまう」というのが毎日続けられるコツです。
プランクは前腕と肘、それから両足のつま先を地面につけて、体を浮かせたままの状態をキープするというエクササイズです。
まず、床にうつ伏せになることから始めます。次に両腕の肘を90度に曲げた状態で床につける形で上体を持ち上げます。続いて、つま先を地面に着けて下半身を浮かせます。これで両腕とつま先だけで体を支え、他の部分は床面から離れて宙に浮いた状態となります。
この時、頭から足までがきれいな一直線になるような姿勢を意識します。一直線とはお尻を上に突き出さず、お腹も地面に着きそうになっていない状態を指します。そのきれいな一直線の姿勢を作れたら、30秒~1分ほど同じ姿勢を維持し続けるとプランクは成功です。
秒数は自身の体調や体力に合わせて変えてもよいですが、一般的な目安としては30秒~1分とされており、これを3セットほど繰り返すと効果的です。
ヒップリフトはまず、床に仰向けに寝ることから始めます。寝たままの状態で、両脚の膝を90度に立てると準備は完了です。そこから足と肩で体を支えながらお尻をぐっと持ち上げるのがヒップリフトです。
この時、肩・胸・お腹・太もも・膝までのラインがきれいに一直線になるのを意識して、その状態で一時停止します。
お尻を上げてすぐに下ろすのではなく、必ず一度そこで動きを止めるのが大切です。姿勢をキープする時間は1秒程度でも十分です。そこからお尻をゆっくりと下ろして床に着けると終了ですが、トレーニングとしてはこれを10~15回ほどを1セットとして、合計3セット繰り返すのが一般的な目安です。
大切なのは、お尻を上げた状態の姿勢がきれいな一直線の状態で必ず一度停止すること、そしてお尻の上げ下げは3秒ほどかけてゆっくり行うということです。
体幹トレーニングとは胴体の深層部にあるインナーマッスルを鍛えることになります。体幹トレーニングにより、姿勢がよくなる、身のこなしがきれいになる、適正体重に近づいていく、肩こりや頭痛が解消する、などのメリットがあります。
体幹トレーニングをする場合、時間や場所を決めておいたり、軽い気持ちで取り掛かったりすると毎日続けられます。体幹トレーニングのプランクは、うつ伏せで前腕、肘、両足のつま先を地面につけ、体を浮かせるというトレーニングです。また、ヒップアップは、仰向けに寝て膝を90度に曲げ、お尻を持ち上げるというトレーニングになります。
いずれも決して難しくありませんが、一定の秒数その姿勢を維持することでインナーマッスルが鍛えられるというものです。