コラム
私たちは毎日のように塩を口にしています。直接的ではなくても、料理、調味料、飲み物などから私たちの体に入ってきます。その塩にはどのような種類があるのでしょうか?また、それぞれの塩にはどのような特徴があるのでしょうか?ここでは塩のことを調べてみましょう。
塩とは「塩辛い味」を持った物質で、海水や岩塩から生成された物です。食生活では欠かせない調味料であるとともに、日本では「清め」とても用いられます。
塩の主成分は、ナトリウムイオンと塩化物イオンが結びついた塩化ナトリウム(NaCl)で、味はしょっぱい塩味があります。塩には苦味のあるマグネシウム、甘味のあるカルシウム、酸味のあるカリウムなどのミネラルも微量ですが含まれています。
塩化ナトリウムは基本的には無色正六面体の結晶ですが、成長する時の環境や条件によってはピラミッド状、フレーク状などさまざまな形の結晶になります。塩の作用には、脱水作用、発酵作用、食材を柔らかくする作用、防腐作用などがあります。
塩は海、岩、湖などから採取されます。日本は周囲を海で囲まれているため、やはり海から採れる塩が中心となります。
その海水から採れる塩は細かくは海塩と精製塩に分けられます。海水から採れるものが海塩で、採取した塩を電気分解して作ったのが精製塩になります。
海塩は塩化ナトリウムの純度が約80%で、残りはマグネシウム、カリウム、カルシウムなどのミネラル成分で構成されているため、まろやかな味に仕上がっています。甘味・旨味・苦味などのバランスが整っており、食べやすい塩であると言えます。
海塩は作り方によって「せんごう塩」と「天日塩」があります。せんごう塩は昔ながらの製法で、海水を採取して煮詰めて作ります。水に溶けやすく、しっとりとした塩になります。
天日塩は太陽と風の力で水分を蒸発させ結晶化させて作ります。粒子が細かく、天然のミネラルが豊富です。
岩塩とは、海底が地殻変動のため隆起することなどにより海水が地上に閉じ込められたり、砂漠気候にある塩分を多く含む湖の水分が蒸発したりすることで、海水が濃縮したものです。
一見岩のような形状で、ほとんどは無色あるいは白色に近い淡い色をしています。ただ、産地や地層によっては青色、桃白色、鮮紅色、紫色などの岩塩もあります。これらの色の違いは、周囲の地層やミネラル、硫黄、有機物の混入の違いで生じます。
岩塩は大昔の海水から長い年月をかけて作られた天然塩で、水に溶けにくく、精製塩と違い味に丸みや旨味があるのが特徴です。
産地はヨーロッパ全域の他、アジアではパキスタン、ネパールなどのヒマラヤ岩塩が知られており、スーパーでも見かけることがあります。
製法には乾式採鉱と溶解採鉱の2種類があり、乾式採鉱は採掘した岩塩を細かく砕いで食用にする方法、溶解採鉱はいったん地下に水を注入し岩塩を溶かして岩塩にする方法です。溶解採鉱の方が精製塩に近いものとなっています。
湖から採れた塩が湖塩と呼ばれるものです。日本では湖塩は作られず、高濃度の塩分量で知られる死海などで作られます。
代表的な産地にはイスラエル、ボリビアがあります。イスラエルの死海やボリビアのウユニ湖は、もとは海だった所です。湖になった後に水が蒸発することで塩分量が高くなりました。
そのうちの一つのボリビアのウユニ湖はボリビア共和国の中央西部にあります。塩湖の塩をかき集め、集めた塩を3日間天日乾燥させます。その後、乾燥させた塩を30分ほど熱し、さらに乾燥させた後に粉砕機で粉々にして作ります。
海水由来の塩になるため、やはりミネラル分が豊富です。柔らかな苦味と甘味があり、いろいろな料理に合わせやすい塩です。加工食品や加工調味料が苦手な方でも食べやすい塩になっています。なお湖塩は生産量が少なく、非常に希少性が高い塩として重宝されています。
精製塩とは、分かりやすく言うと「食卓塩」や「食塩」として流通している塩になります。
原塩(主に輸入塩)を溶解し精製した塩化ナトリウム濃度99.5%以上の高純度のものや、海水をイオン膜で電気分解し塩化ナトリウム濃度99%のものがあります。
大量生産ができ、他の製法より容易なことから価格も安く幅広く流通している塩です。微量のカルシウム、マグネシウム、カリウムなどのミネラルも含みますが、塩化ナトリウム濃度が高いため雑味が無く、塩辛いのが特徴です。
塩は時間経過による品質の劣化が極めて少ない食品であるため、一般に賞味期限が表示されていません。ただ、温度湿度の影響で固まる性質や、臭いを吸着しやすい性質があります。塩を保管する際は、高温多湿な場所や、臭いの強い物の近くには置かないことが大事です。
塩の主成分は塩化ナトリウムです。塩の種類のうち、海から採れるものが海塩で、ミネラル分豊富でまろやかな味が特徴です。岩塩は大昔の海水から年月をかけて作られた塩です。水に溶けにくく、味に丸みや旨味があります。
死海など塩分量が多い湖から採れるのが湖塩です。海水由来の塩のため、ミネラル分が豊富でいろいろな料理に合わせやすい塩です。精製塩は塩化ナトリウム濃度が高く、価格も安いため広く流通している塩です。雑味が無く塩辛いという特徴があります。
塩というとスーパーなどで普段購入する精製塩を思い浮かべるかも知れませんが、よく聞く岩塩や、稀少な湖塩などもあります。これらを手に入れる機会があれば、普段の精製塩とどう違うのか味わってみてはいかがでしょうか。