歯を丈夫に保つ食べ物ってどんな物があるの?①

コラム

丈夫な歯

皆さんは歯が丈夫な方ですか?思い返せば子どもの頃「虫歯になるからよく歯を磨きなさい」と言われたものです。歯に問題を抱える日本人は多いですが、間違いなく言えることは「丈夫な歯は健康につながる」ということです。歯を丈夫に保つのに効果的な食べ物を考えてみましょう。

歯を健康に保つことはなんで重要なの?

歯を健康に保つことは健康全般、生活全般においてとても重要なことです。虫歯や歯周病になると、まず食生活に悪影響が出ます。歯が弱って硬いものを食べられなくなると、食べるものが限定され栄養が偏ります。食事自体が億劫になって、食べる回数が減り栄養が偏ることもあります。

また食べ物を噛む咀嚼という行為には、会話能力や運動能力を維持する効果もありますが、これが無くなくなると食事以外の普段の生活にも支障が出てくるのです。

さらに歯周病は歯や歯茎など口内の健康を悪化させるだけでなく、糖尿病や脳梗塞など他の臓器疾患を引き起こすリスクが高まるという研究結果も出ています。

最近では歯の健康とメタボリックシンドロームとの間には、相関関係があるとも言われています。歯を健康に保つことがそうした全身の病気の予防につながるということが注目されています。

歯の原料になるカルシウムって何?多く含まれる食材は?

カルシウムは最も多く人体に存在するミネラルで、体重の1~2%を占め、その約99%が骨や歯に、残りは血液、組織液、細胞に含まれています。

カルシウムは強い歯や骨を作るだけでなく、筋肉の収縮や神経を安定させる働きがあります。そのため、子どもが心身ともに健康に育つためには欠かせないミネラルとなっています。

このカルシウムが不足すると、骨粗しょう症、高血圧、動脈硬化などの原因となることもあります。

カルシウムは、牛乳、チーズ、ヨーグルトなどの乳製品、骨ごと食べられるような小魚、豆腐や納豆などの大豆製品、野菜類、海藻類に多く含まれています。中でも牛乳はコップ一杯で約220mgのカルシウム含有量があり、効率よくカルシウムを摂取できる食品です。

カルシウムの摂取目安量は、成人で一日当たり600~800mg、育ち盛りの子どもで700~1000mgと言われています。

歯の再石灰化って何?

むし歯とは、口の中にいるミュータンス菌と呼ばれる菌が作る酸が、歯のカルシウムを溶かし穴が開くという現象です。

このミュータンス菌は、歯に付着して水に溶けないネバネバした歯垢(プラーク)を作り、食べ物中の糖質を用いて酸を作ります。

この酸が、エナメル質の内部からカルシウムやリンを溶かす脱灰という作用を起こします。歯に歯垢が残ったままになっていると脱灰が進み、やがて歯に穴が開いていきます。

ただ、歯に穴が開く直前の状態であればまだ修復は可能です。口中の唾液の持つ中和する働きにより、細菌が作り出した酸を中和して洗い流します。さらに唾液中のカルシウムやリンをエナメル質の表面に戻す働きもしてくれます。この働きが歯の再石灰化という現象です。

毎日使うハミガキの中にはこの再石灰化を促進するフッ素が含まれていますが、フッ素には細菌の働きを抑える、溶けたエナメル質を修復する、歯質を強化する、などの働きがあります。

歯の再石灰化を助けるリンって何?多く含まれる食材は?

リンは体内のミネラルの中でカルシウムに次いで多く存在する物質です。リンは成人の体内には最大で800g含まれ、その約85%がリン酸カルシウムやリン酸マグネシウムとして、骨や歯を作る成分となっています。また、残りの約15%は筋肉、脳、神経などのさまざまな組織に含まれ、エネルギーを作り出す時に必須の役割を果たします。

リンは魚介類、穀類、卵類、乳製品、大豆製品などに多く含まれています。可食部100g当たりのリン含有量は、かたくちいわし田作り2300mg、加工用干しえび990mg、鶏卵の卵黄生540mg、ナチュラルチーズパルメザン850mg、プロセスチーズ730mg、いり大豆黄大豆710mg、きな粉全粒大豆黄大豆660mgなどとなっています。

なお、一日当たりのリンの摂取目安量は18歳以上の男性で1000mg、女性で800mgとなっています。リンが不足すると、脱力感、筋力低下、溶血などの原因となることがあるので摂取目安量に注意して下さい。

歯肉が弱くなるとどうなるの?

歯肉が弱くなると、歯や口内の健康のみならず、全身の健康にも悪影響があるとされています。まず歯肉が弱ることで真っ先に起きるのは、見た目の変化です。

それまで歯肉に覆われていた歯の根元が露出するので、歯が長く見えるようになってきます。また根元の部分は細いので歯と歯の間に隙間ができるようにもなります。

歯肉には歯を支える役割もあるため、それが弱れば歯がぐらつくといったことも起きます。さらに、歯と歯肉の間にできる歯周ポケットも拡大していきます。

見た目の変化よりも厄介なのは、この歯のぐらつきや歯周ポケットの拡大で、これらは歯周病の進行につながってしまいます。

歯周病は虫歯や歯肉炎など口内の環境を悪化させるのはもちろんですが、それだけでなく全身の病気の発症リスクを高めると言われているので注意が必要です。

歯を丈夫に保つ食べ物について①

歯が弱ると食べる物が限定され栄養が偏ります。歯周病になると、糖尿病などを引き起こす原因にもなります。それを防ぐには歯を丈夫にする必要があります。
牛乳には骨を丈夫にするカルシウムが豊富に含まれています。虫歯の穴が開く寸前の状態なら、唾液の働きのよる再石灰化で修復は可能です。カルシウムに次いで体内の多く存在するミネラルにリンがありますが、これは再石灰化を助ける栄養素です。リンが多く含まれるかたくちいわし、チーズなどを欠かさないようにしましょう。
歯そのものはもちろんですが、歯肉も大事な部分です。歯の長さの変化や隙間の広がりという歯周病のサインを見逃さないよう、鏡を見る時は歯もしっかり観察するようにしましょう。