コラム
脂肪細胞には白色と褐色という、色で分けられる2種類があるのをご存知でしょうか?正式な名称は白色脂肪細胞と褐色脂肪細胞になりますが、これらは単に色が違うだけなのでしょうか?この2種類の脂肪細胞について、褐色脂肪細胞を中心に調べてみましょう。
脂肪細胞には白色脂肪細胞と褐色脂肪細胞の2種類があります。このうち褐色脂肪細胞は名前が示す通り褐色をしています。そして主に首、脇の下、心臓・腎臓などの周辺等、限られた場所に存在します。
白色脂肪細胞が脂肪を蓄えるのに対し、褐色脂肪細胞は脂肪を分解して燃焼させるという対照的な役割があります。
燃焼させるということは、体に備わった発熱源であると言うことです。例えば寒さで体温が下がった場合、蓄えてあった脂肪を燃焼させ熱エネルギーを生み出します。その結果、体温の上昇につながります。
この褐色脂肪細胞はまだ幼い赤ちゃんがたくさん持っています。大人と違い赤ちゃんは自分で着ている衣服の調節ができません。赤ちゃんは体温維持を自分でコントロールできないのです。そのため、たくさんある褐色脂肪細胞が体温を調節し、生命維持の役割を果たしているのです。
褐色脂肪細胞がエネルギーを利用して熱を作り出すのに対し、白色脂肪細胞はエネルギーを蓄積する働きを持ちます。
白色脂肪細胞は皮下や内臓の周囲に大量に存在し、中性脂肪を貯蔵する働きを持ちます。白色脂肪細胞は脂肪を蓄えるだけでなく、エネルギーが必要になった時、自らの脂肪を分解・遊離し、脂肪酸とグリセロールとなって全身に供給します。
この働きで白色脂肪細胞は消滅するわけではありません。白色脂肪細胞は小さくなって残り、再びエネルギーが余った状態になると大きな脂肪細胞に成長します。そしてまた脂肪を取り込むようになります。
この白色脂肪細胞は地球上のほとんどの生物が持っています。白色脂肪細胞で脂肪を蓄えることができる生物が、地球上で生き残ってきたのです。
極端な話かも知れませんが、「水を飲んだだけでも、空気を吸っただけでも太ってしまう」と嘆いている方がいます。一方、世の中にはいくら食べても太らないという方もいます。このような体質の方ほど褐色脂肪細胞が多く、そのため痩せやすいと言うことができます。
そのような方は普段から行っているスポーツのようなこと、特に水泳などを日常に取り入れてはいないでしょうか?
肩まわりをよく動かす方や冷たい環境に身を置く方は、褐色脂肪細胞が活性化されやすいという傾向があります。水泳はまさにピッタリのスポーツです。
冬生まれの子の方が、褐色脂肪細胞が多かったというデータもあります。当然ですが、寒い地域に住んでいる方の方が褐色脂肪細胞は多いのは事実のようです。
また、「汗かきでご飯を食べただけでも汗をかく」というような方も褐色脂肪細胞が多いと言われています。
褐色脂肪細胞を活性化させる方法の一つに、肩まわりのストレッチをするということがあります。褐色脂肪細胞は肩甲骨周辺に多いため、この場所に刺激を与えることで褐色脂肪細胞は活性化されます。
寒冷刺激を与えるという方法もあります。背中部分に20℃程度の水を30秒ほどかけ、その後に40℃程度のお湯を30秒かけます。このサイクルを5回繰り返すという温冷浴と言う方法があります。また、寒い冬は室内で温かく過ごすのもよいですが、適度に外気に当たるということも必要です。
全身を使う有酸素運動の水泳をすることも効果的です。プールは冷たく寒冷刺激を体に与えることで褐色脂肪細胞は活性化します。
「痩せる細胞」と言われる褐色脂肪細胞を活性化させ増やしてやることで、肥満予防ができます。
そのためには前述のように、肩や肩甲骨まわりをこまめに動かして刺激を与えてあげるようにしましょう。これは、肩こり予防にも効果があるので一石二鳥です。温冷浴や、温水ではないプールでの水泳も効果的です。
また、バランスのよい食事をすることも効果的です。褐色脂肪細胞内にあるミトコンドリアが活性化することで、より脂肪燃焼が促されます。そのミトコンドリアを活性化させる食品には緑茶、生姜、にんにく、唐辛子、EPA・DHAなどがあります。この中では特に唐辛子がおすすめです。唐辛子の辛み成分のカプサイシンは、褐色脂肪細胞を刺激すると言われているからです。
脂肪細胞のうち、白色脂肪細胞はエネルギーを蓄積する働きを持つのに対し、褐色脂肪細胞はエネルギーを利用して熱を作り出す働きがあります。褐色脂肪細胞は中性脂肪を燃やし、痩せることにつながるという訳です。
水泳などのスポーツをする方、寒冷な環境に慣れた方などに褐色脂肪細胞が多いと言われていますが、努力すれば褐色脂肪細胞は活性化され増えていきます。肩まわりの運動、温水と冷水を交互にかける温冷浴、肩の運動も兼ねた水泳などで褐色脂肪細胞を活性化させましょう。また、バランスのとれた食事は大事で、特に褐色脂肪細胞内にあるミトコンドリアを活性化させる唐辛子、緑茶、生姜、EPA・DHAを意識して摂るようにしましょう。
できることから始め、褐色脂肪細胞に助けてもらいながら痩せてみましょう。