コラム
皆さんは日頃、どこの産地の牛肉を召し上がっていますか?スーパーの肉のコーナーには高級な和牛などの国産牛に加え、オーストラリア、アメリカ、アルゼンチン、ニュージーランドなどの輸入肉も並んでいます。ここでは各国の牛の飼育方法や、牛肉の味の特徴についてまとめてみましょう。
オーストラリア産の牛肉はオージービーフと呼ばれ、日本でも多く消費されています。
オージービーフは自然に放牧され、牧草を食べて育ったグラスフェッドと、一定期間穀物を食べさせたグレインフェッドがあります。かつてはグラスフェッドが主流でしたが、最近はグレインフェッドの牛肉の生産も盛んです。
グラスフェッドは肉質が他の外国産の牛肉と比べてやや硬く、脂質が少な目で、香りが強いのが特徴です。一方、グレインフェッドは脂質が多めで柔らかいのが特徴で、日本人好みの肉質です。
オージービーフの香りが気になる場合、ローズマリー、ナツメグ、タイム、コショウなどのハーブ・スパイス類を使うことによって、美味しく食べられます。
アメリカにおいて、牧場で育った牛は生後1年余りでフィードロットと呼ばれる集中肥育施設に送られ、濃厚飼料で飼育されます。フィードロッドで育てられた牛の肉は、適度に脂肪のついた柔らかい肉質が特徴です。
日本向けに生産される牛肉には、このフィードロットで飼育される方法の他に、穀物飼料で育てられるグレインフェッドがあります。グレインフェッドは栄養価の高い穀物のえさを与えて飼育することで、臭みが少なく柔らかい肉質になります。
適度な脂肪がついた柔らかな肉に仕上がるため、日本向けはほとんどがグレインフェッドになります。
アルゼンチンと聞いて牛肉を思い浮かべる方は少ないでしょうが、実はアルゼンチンは生産面でも消費面でも世界屈指の牛肉大国なのです。
生産に関して言えば、豊沃な草原であるパンパという大自然に恵まれた環境で牛が育てられます。その肉質の評価は極めて高いものがあります。
アルゼンチンビーフの特徴は何と言っても赤身の美味さに尽きます。その理由はグレインフリーにあります。
アルゼンチン北部から南部にかけて広大に広がる天然のパンパで、牛はしっかりと運動し、ストレスを感じずのびのび育ちます。自然の恵みである純粋な牧草だけを食べることによって、特に赤身の肉質の旨味は際立つものになるのです。
消費面ではアサードが国民食になっており、分厚く焼いて食べるのがアルゼンチンの牛肉食の流儀だと言えます。
また日本とは牛肉の好みの部位が違うこともあり、日本人の好む肩ロースが比較的リーズナブルな価格で入手できるのも魅力です。
ニュージーランドは日本と同様に四季のある国で、牛は自然豊かな牧草地で飼育されています。自然の牧草を食べながらのびのび過ごす環境は、草食動物本来の姿とも言えます。
牧草は長い日照時間と豊富な降雨量によって、栄養価の高いものになっています。除草剤も使用していないので、限りなく自然に近い安全な状態が保たれています。そんな牧草を食べて育った牛は、健康的に育ちます。
ニュージーランド牛の特徴は、あっさりした赤身肉にあります。低脂肪・低カロリーなので、健康に気を配る方にはおすすめです。歯ごたえが強く、噛めばかむほど本来の美味しさが出てきます。
テングビーフステーキジャーキーはこの良質な赤身肉が特徴のニュージーランド産牛肉を使用して作られています。(2020年現在)
日本で販売されている牛肉は和牛、国産牛、輸入牛の3つに分類されます。このうち国産牛とは、日本国内での飼育期間が他の国での飼育期間よりも長い牛のことで、出生地は問いません。
和牛とは日本独自の基準で交配、飼育された黒毛和種、褐毛和種、日本短角種、無角和種の4品種のみです。
国産牛の特徴は牛小屋で飼育されているということです。エサには穀物、トウモロコシ、稲わらなどが使われます。
国産牛、特に和牛の飼育ではエサのラクトンと呼ばれる香り成分が大量に含まれているのが特徴です。これは甘い香りがし、加熱調理するとさらに香りが増します。すき焼きやしゃぶしゃぶではこの香りがあるため、さらに美味しく感じるのです。
和牛はきめが細かく肉質が柔らかです。脂肪が霜降り状に入っている世界最高ランクの肉質です。
国産の乳用種は赤身が多く健康を気にする方には向いています。脂身が少なく淡泊な味が特徴で、シチューなどの煮込み料理に向いています。
国産の交配種は乳用種より霜降りになりやすく、炒め物や焼き肉に向いています。
オージービーフとも呼ばれ日本でも人気なのがオーストラリア産の牛肉です。穀物を一定期間与えたグレインフェッドは適度な脂質で柔らかく、日本人好みの肉質になります。
アメリカではフィードロットと呼ばれる集中肥育施設で育てられるのが一般的ですが、穀物飼料で育てられるグレインフェッドが増えてきました。アルゼンチンでは豊沃なパンパで牛が育ち、美味しい赤身肉に仕上がります。
ニュージーランドでは自然豊かな牧草地で育てられ、あっさりした赤身肉が特徴です。国産牛では和牛が最高ランクの霜降り肉で知られています。国産牛では乳用種は脂身が少なく、交配種は霜降りになりやすくなっています。
ビーフジャーキーも牛肉が原料です。牛肉を使った食品やパックの牛肉を選ぶときなどに、産地や飼育方法の違いなどをチェックしてみるのはいかがでしょうか。