コラム
料理に辛さのエッセンスを加えられるのが胡椒です。胡椒には多くの栄養素が含まれているのをご存知でしたでしょうか?その栄養素による効能や、胡椒の歴史、胡椒の挽き方の違い、ブラックペッパーとホワイトペッパーの違いなどについて考えてみましょう。
胡椒は世界中で使われているポピュラーな調味料で、黒胡椒(ブラックペッパー)、白胡椒(ホワイトペッパー)、青胡椒(グリーンペッパー)、赤胡椒(ピンクペッパー)の4種類があります。
そもそも胡椒は約2500年前(BC500年頃)インドで生産され、後の古代ギリシアでは医薬品や食用として使用されていました。
日本における胡椒の歴史は意外と古く、1300年前の奈良時代からになります。「胡椒」とはもともと中国で西方をさす「胡」に由来する言葉で、日本にはその中国を経由して伝来しました。
胡椒は遣唐使を通じて国内に持ち込まれ、東大寺正倉院の宝物にも胡椒の実が残されています。しかし日本での栽培が不可能であったため、すべて海外からの輸入品で、大変高価なものでした。
江戸時代初期には、胡椒をうどんやそうめん(にゅうめん)に使用する文化が生まれていたとされています。
また、明治時代には洋風料理が上陸し、調理人によって胡椒が使われるようになりました。同じ明治時代に「中華そば」も流行し、食べる直前に胡椒をかける習慣が広がりました。
どのような料理でも塩と胡椒をかけるだけで旨みが増し、味が引き締まります。しかし胡椒の栄養素についてはあまり知られていません。
胡椒は100gあたり371kcalのエネルギーの他、たんぱく質4.8g、脂質0.9g、炭水化物22.4gを含んでいます。さらに辛みの成分であるピぺリンや、カリウム、鉄分、マグネシウムなどのミネラル、ビタミンB1、B2などが豊富に含まれています。
調味料としての使用頻度は多く、味付けだけの役割と考えられがちですが、意外と胡椒は健康食品であるとも言えるのです。
胡椒の効能の一つがピぺリンの力による抗菌・防虫・防腐効果です。抗酸化作用もある他、歯痛や腹痛にも効くと言われています。
胡椒には食欲を増進させ、消化機能を高める働きがあります。栄養分の吸収が高まり、胃腸の調子も改善されます。
発汗作用や利尿作用もあります。血管が広がり血流もよくなるため、栄養素の輸送もスムーズになります。そして貧血や冷え性の改善にも役立ちます。
血管が広がり、血流がよくなると代謝が改善されます。それによるダイエット効果も期待できます。抗酸化作用によるアンチエイジング効果もあります。
胡椒には粒子の大きさによって、ホール(粒)、クラッシュ、粗挽き、グラインド、パウダー、と小さくなり、それぞれで呼び方が変わります。
ホールは胡椒の粒そのものを使用しており、じっくり香りを引き出したい煮込み料理や、マリネに使用されます。
クラッシュはホールを粗く砕いたもので、風味をやんわりと染み込ませたい時に使用します。
粗挽きはクラッシュより少し細かく砕いたもので、挽きたてのピリッとした辛味を出したい時に使用します。
グラインドは粗挽きより少し細かい粒からパウダーまでが混ざったもので、下ごしらえにまぶしやすく、調理中に使ったり、食べる直前にかけたりします。
パウダーはかなり細かく粉砕したもので、下ごしらえにまぶしやすく、調理中やできあがった料理への使用など幅広い使い方ができます。また、舌触りを邪魔しないので、滑らかな食感のものとも好相性です。
ブラックペッパーとホワイトペッパーはまったく違う味がします。しかしブラックペッパーもホワイトペッパーも元は同じ胡椒なのです。
この違いは作り方によります。ブラックペッパーは完全に熟す前に乾燥させたもので、ホワイトペッパーは完熟した実を乾燥させた後に水に漬け皮を剥いたものです。
ブラックペッパーには表皮が残っているため独特の強い風味があるのが特徴です。そのため牛肉との相性がよく、強い辛みや風味を楽しめます。欧米などでは肉食が中心となるため、ブラックペッパーがよく使われます。
ホワイトペッパーは刺激的で辛みもありますが爽やかさもあります。ブラックペッパーに比べると香りが柔らかなのも特徴です。ホワイトペッパーは色だけでなく味もクリーム系の料理や白身魚に合います。
胡椒は約2500年前にインドで誕生し、奈良時代には日本に持ち込まれています。辛みの成分であるピぺリンの他、多くのミネラル、ビタミンB1、B2などを含む栄養価の高い調味料です。胡椒には抗菌・防虫・防腐効果だけでなく、消化機能改善、代謝改善、ダイエット効果、アンチエイジング効果などが期待できます。
同じ胡椒でも挽き方によりホール(粒)、クラッシュ、粗挽き、グラインド、パウダー、と異なった呼び方がされています。よく知られているブラックペッパーは完全に熟す前に乾燥させたもので、ホワイトペッパーは完熟した実を乾燥させた後に水に漬け皮を剥いたものという違いがあります。
普段何気なく使っている胡椒ですが、知れば知るほど奥の深い調味料であり、ビーフジャーキーの美味しさにも大きな影響を与えているのです。