コラム
身近なおつまみやスナックの定番としておなじみのビーフジャーキーですが、一体どこで産まれて、どうやって日本に入ってきたのでしょうか。その起源や歴史を紐解いてみましょう。ビーフジャーキーの代名詞でもある「テングビーフステーキジャーキー」にも意外な歴史が隠されていました。
ビーフジャーキーは実は伝統的な食べ物で、長い歴史を持っていることをご存知ですか?日頃何気なく食べている方も多いビーフジャーキーですが、この機会にその歴史について知ってみるとより美味しく感じられるかもしれません。
ビーフジャーキーの「ビーフ」はもちろん牛肉を指しますが、「ジャーキー」にはどんな意味があるのでしょう?
「ジャーキー」という言葉はケチュア語に由来します。本来は日干しにした食材全般を指す「チャルケ (charque)」や「チャルキ (charqui) 」がインカ帝国から各国へと伝わる過程で、変化した言葉です。ケチュア語を用いるインカ帝国の部族は、リャマ肉などを干したり、燻製にしたりして保存肉を製造していました。
これがアメリカに伝わる過程で、北米人の訛りが加わり、チャルケ、チャルキは「ジャーキー(Jerky)」の発音へと変化していきます。ビーフジャーキーはタンパク質が豊富(テングビーフステーキジャーキー レギュラー100g当たり49.9g)で、保存食としてとても優れていたため、後々アメリカで好まれて食されるようになりました。冷蔵技術が発達した現代では、保存食としての意味合いは薄れていますが、歯ごたえとスパイシーな風味が魅力的なビーフジャーキーは、おつまみやスナックとして多くの人に愛されています。
南米の先住民の食べ物だったビーフジャーキーがなぜアメリカで大人気になったのでしょう?
ビーフジャーキーはもともと南米の先住民が作っていたとされる牛肉を用いた燻製品で、狩猟民族であった彼らは保存や持ち運びに便利なジャーキーを好んで食べていたと言われています。そんなジャーキーがアメリカ全土で一般的になってきたのは、ベトナム戦争が行われた1950年代からになります。この戦争でアメリカ軍がビーフジャーキーを野戦食として採用します。兵士に好評だったビーフジャーキーは、それをきっかけとして本国にいる国民の間にも徐々に浸透していきました。
現在はその戦争も終わり、また食品の冷蔵技術の発達によってジャーキーに保存食としての役割を求めることはあまりなくなりましたが、さまざまなスパイスで味付けして食べるジャーキー文化はその後も根強く残りました。
ビーフジャーキーは今や日本でもよく知られ、さまざまな商品が流通していますが、これが海外から日本に入ってきたのは1980年代であるとされています。それ以前、1950年代からアメリカでは広く普及していたものが、70年代に日系2世アメリカ人であるケン大崎氏らの手によってしょうゆ味をベースにした「テングビーフステーキジャーキー」が販売され、好評を博します。
この「テングビーフステーキジャーキー」は日本人好みのアレンジもあり、まずはハワイ旅行のお土産として大ヒットを博しました。その魅力に当時の弊社社長鈴木(現会長)が着目し、1983年、日本への輸入を開始すると国内でもたちまち大人気となり、ビーフジャーキーは一気に日本中で知られるようになりました。日本のビーフジャーキーの歴史はそのまま「テングビーフステーキジャーキー」の歴史でもあるのです。その後も「テングビーフステーキジャーキー」にはさまざまな改良がくわえられ、さまざまなテイストの商品が開発されています。
テングビーフステーキジャーキーの歴史について詳しくご紹介します。テングビーフステーキジャーキーが誕生したのは1970年代のアメリカ・ロサンゼルスです。日系2世のケン大崎氏がアメリカで製造したのが始まりです。
アメリカで誕生したのに「テング」という名がついたのは理由があります。開発者のケン大崎氏は日系2世としてアメリカ軍に従軍し、第2次大戦のヨーロッパ戦線に送られます。戦地で負傷しながらも帰国したケン氏は、父の豆腐屋を継ぎながら日系人を中心に漬物販売を行っていました。また、天狗という会社を興し冷凍食品加工など新事業も展開しました。そのころ持ち前のアイディアとチャレンジ精神で、画期的なビーフジャーキーを創り出します。彼のビーフジャーキーへのこだわりは、しょうゆ味、そして何といっても良質のステーキ用肉を使うことでした。こうして「テングビーフステーキジャーキー」は誕生し、リトル東京を始めとする日系人社会でたちまち評判となります。
1980年代に入り日本からの海外旅行も一般化してくると、人気の旅行先であったハワイ土産の定番として知られるようになりました。その後1983年には弊社が日本総代理店契約を結び、日本での販売開始するに至ったわけです。
まず、材料の牛肉です。ケン大崎氏がこだわったのはステーキ肉を使うこと。ニュージーランド産の100%赤身ももステーキ肉を使用し、原材料の牛肉がおよそ1/3のサイズになるまで乾燥し、旨味を凝縮しています。しっかりとした歯ごたえと、噛めば噛むほど深くなる味わいは、こうして良質なステーキ用肉をたっぷりと使用しているからなんです。
もう一つの味の決め手は醤油です。醤油と言えば和風の調味料の代表格ですが、牛肉に合う調味料としても知られています。「テングビーフステーキジャーキー」はこの醤油を味のベースにしています。牛肉と醤油のベストマッチ。1970年当時のアメリカ人には考えもつかなかったでしょう。日系人だったからこそ思いついたアイディアだったのです。
現在では定番の「ビーフステーキージャーキー レギュラー」に加え、レギュラーに比べ50%塩分を抑えた「テングビーフステーキージャーキー 減塩」やピリッと胡椒のきいた辛い味付けのテングビーフステーキージャーキー HOT」、さらには“激辛”として知られている「ブートジョロキア」、「レッドサビナ・ハバネロペッパー」を主原料として作られた「ブレアーズ・サドンデスジョロキア」ソースを味付けに使用したテングビーフステーキージャーキー 激辛」など、さまざまな味のバリエーションがお楽しみいただけます。
ビーフジャーキーの起源は古いものですが、本場アメリカで一的に普及したのも、日本に入ってきたのも案外最近の出来事でした。今はスーパーなどで普通に見かけるビーフジャーキーですが、ケン大崎氏のアイディアや努力が無ければ、日本にこれほど普及することもなかったかもしれません。